カビと結露と健康の関係
カビ発生と成長のしくみ
カビの元である胞子はどこにでも存在しています。
空中を浮揚していた胞子が壁などに付着付し、
そこの水分や温度がカビの成長に適していると、
出芽を始め、やがて建材中に菌糸を伸ばし分岐し、
建材中の水分に溶け出した栄養を取得しながらながら
成長を続けます。
カビが好む環境・・・
建築物に発生するカビの成長には、
温度・水分・栄養・酸素などが関係します。
適温は25〜45℃だそです。
夏期にカビが発生しやすいと云うのは
この温度条件なのですね。
カビの栄養取得・・・
カビも生物ですから栄養分を補給しないと成長できません。
カビにとっての栄養分は有機物や有機化合物で、
植物由来の製品のほか、接着剤など石油由来の
化学製品のほとんどが含まれます。
但し、水に溶けるという事が必須条件で、
水溶液の状態で栄養を吸収します。
その為に乾燥している場所では栄養が取得出来ずに死滅します。
上記の事から、カビ防止=結露防止と云う事が分かります。
結露発生のしくみ・・・
結露の発生はビールを入れたグラスを見るとよく分かります。
グラスの中に冷たいビールを注ぐとグラスが冷やさます。
冷えたグラスに接した空気中の水分が水になり
グラスの表面に水滴となります。
建物でもまったく同じ事が起きます。
冬場に外気温が低くなると窓ガラスが徐々に曇ってきて
最後には水滴になります。
通常見えませんが、同じ事が壁の裏側や床下、天井内でも
起きています。
内部結露とカビの発生
上記の様に内部の見えないところで起きている結露を
内部結露と云います。
例外もありますが、多くのマンションの壁は図のように
コンクリート外壁の室内側に石膏ボードの内壁がある
2重壁になっていて、コンクリートと内壁の間には数pの
空間があります。
冬期外気温が下がり、とコンクリート壁の温度も下がると、
コンクリート壁の内側表面で結露が起き始めます。
そして床に貯まった水分を内壁の石膏ボードが吸い
温度が高い室内側の内装のクロス面にカビが出て来ます。
上記が一般的なカビと結露の関係です。
結露を防止する方法は2つ・・・
カビ防止=結露防止だと云うことが分かりました。
そして、結露を防止するには下記2点がポイントになります。
@空気を冷やさない
A外壁側に室内空気を流入させない
上記の為に断熱材を取付け、室内空気が接する壁の温度を下げないようにする事と
室内の空気が外壁面に接しない対策をリフォームで行います。
クロスを貼り替えてもカビが生えてくる理由・・・
カビ生えてきて汚いのでクロスを貼り替えたい・・・
と云う依頼がありますが、クロスだけを貼り替えても
上記の通り原因が結露なので、結露防止工事を
行わないと数年後には同じ事になります。
防カビ材で処理を行っても防カビクロスを貼っても大きな差はなく、
1〜2年カビの発生を先延ばしするだけです。
調湿壁材の効果
リクシルのエコカラットや珪藻土などの材料の調湿能力は
当社でも実験を行い確認しています。
結論は、調湿機能だけでは厳しい条件での
結露発生防止は難しいのではないかという事です。
その為、当社ではあくまでも補助手段と考え、
基本の断熱による結露防止を行って、さらに加えて
と云う場合にお奨めしています。
又、どうしても断熱工事が出来ない場合で、いくらかでも効果が有れば
と云う場合のみに採用しています。
健康への影響・・・
私たちはカビの専門家ではないので、
本からの引用になりますが、
真菌感染でカビが皮膚や爪さらには筋肉、
骨、粘膜、肺、などに侵入して障害を
起こしたり気管支喘息、鼻アレルギー、
過敏性肺炎などを発症する事が
あるそうです。
参考書:住まいのQ&A/カビ・ダニ・結露
/吉川翠・芹沢達・山田雅士
カビ対策は住環境改善・・・
カビが発生し易いお部屋の環境は北側で
湿気が多く暗くて寒い住環境が悪い
場合が多いです。
ところがカビ・結露防止が目的で断熱工事や
内窓サッシ取付けを行うと結果的に
住環境が大きく改善され、多くの方から
『冷蔵庫の様だったのが
暖かくて快適な部屋になった!』と
うれしいお話しを伺いました。
他にも、
- 電気代が3割くらい安くなった
- 衣類のカビ臭さが消えた
- 外の騒音が気にならなくなった
- ふとんの湿った感じが無くなった
などのお話しもありました。
カビ対策の結露防止リフォームは
快適で健康的なお部屋作りリフォームと云えます。